X-SCORE'S EYE


第11回

広島東洋カープ 徹底解剖
(鈴木誠也 野手篇)

本格的野球データ分析ツール「X-SCORE(エックススコア)」を通じて、プロ野球チーム・プロ野球選手個人の魅力に迫る野球分析コラム。
今回は、広島東洋カープの若きスター候補、鈴木誠也。高校卒業後2年で1軍に定着し、走・攻・守のすべてにおいてきらりと光る潜在能力を見せた昨年の2014年シーズン。プロ野球の次世代を担う若鯉スター候補の魅力を紐解く。

2015年シーズンは優勝候補にあげられながら、最終戦でクライマックスシリーズ進出も逃してしまった広島カープ。カープ全体で見ると得点力不足に悩まされたが、若い選手の台頭が多く見られた。2012年のドラフト2巡目で二松学舎大付属高から入団した鈴木誠也もそのひとりだ。身体能力が高く、広島カープ以外のプロ野球ファンも注目アスリート系の有望選手。

2015年は、97試合に出場し打率.275、5本塁打、25打点。高卒3年目と考えれば上々の成績だ。打撃以外にも、俊足で強肩。とくに肩は、高校時代に投手だったこともあり、日本のプロ野球でもトップクラスを誇る。2014年のドラフト1位でカープ期待の若手・野間峻祥も強肩だが、その野間をして「誠也さんの肩は半端ないです。すごいです」と言うほどだ。
シーズンを通して1軍に帯同した鈴木だが、2014年に飛躍のきっかけをつかんでいた。
ルーキーイヤーの2013年は開幕から二軍のレギュラーに定着し、シーズン終盤には広島カープの高卒ルーキーでは1999年東出輝裕14年ぶりとなる一軍デビュー。

2年目の14年シーズンは36試合に出場し打率.344、1本塁打、7打点。9月25日のスワローズ戦で放ったプロ初本塁打は、初回先頭打者本塁打だった。
更にオフシーズンに行われたU-21野球ワールドカップ(侍JAPAN)では22打数11安打打率.500で「首位打者」と「ベストナイン」を獲得。
人々に鮮烈な印象を与える初本塁打といい、国際舞台でもド派手な大仕事をやってのけるあたりが鈴木誠也にスター性を感じずにはいられないところだ。

2014年のセ・リーグ各球団の代打成績でトップの打率を記録したのが広島カープで.277。
その中で、鈴木は代打で22打数9安打、打率.409を記録した。代打で15打数以上起用された選手ではリーグトップの打率だった。
鈴木が代打で好結果を残せた理由のひとつに積極性があげられる。
カウント別打率で、鈴木誠也は初球時に11打数5安打、打率.455と高打率を残している。ファースト・ストライク時でも21打数9安打、打率.430と高い。
2014年、セ・リーグで規定打席に達した選手の初球時の平均打率は.360、ファースト・ストライクの平均打率.336。首位打者を獲得したマートン(阪神タイガース)の初球時の打率は.394、ファースト・ストライクは.422と高打率を残している選手ほど、初球やファースト・ストライクの球を確実に捉えている。高打率を残すには積極的かつ確実な打撃が必要だ。鈴木誠也は打数こそ少ないが、そういったバッティングができていた。代打では、初球やファースト・ストライクをいかに捉えるかが大事ともいわれるが、14年の鈴木誠也はそれを実践したといえる。

一方、追い込まれてからは2ボール2ストライクで打率.500を残している以外は、ノーヒット。追い込まれてからの打撃に課題はあるが、スイング率は総じて高く、どんなカウントでも積極的に振っているのがわかる。追い込まれても臆することなく振れるのは、打者として大切な要素だ。

走者状況別のデータを見ても、得点圏でよく振れている。チャンスの場面で打席に入っても、追い込まれても振れる。どんな状況でも振っていくことで、14年の鈴木誠也は結果を残した。ある意味で若さも感じるが、一軍での実績が乏しい選手は振っていくことで活路を見出すことができる。
若さは、打球方向にも表れている。

鈴木が放った安打のうちセンターに42.9%、レフトに28.6%、ライトに14.3%。凡打のうち、サードに24.1%の打球が飛んでいる。極端な引っ張り傾向にある。逆方向にも打てるようになればヒットゾーンが広がるが、まだそこまでの技術が伴っていないと考えられる。ただ、そういった技術を高卒2年目だった選手に望むのは酷だろう。

1番打者をなかなか固定できないカープ。俊足で強肩の鈴木誠也が外野の定位置をつかみ、1番に定着できれば心強い。いまの積極性を失わずに、グラウンドの90度をより広く使えるようになることが求められる。

(文・京都 純典)

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