X-SCORE'S EYE(プロ野球のデータ分析コラム:前田健太(マエケン))


第12回

広島東洋カープ 徹底解剖
(前田健太 投手篇)

本格的野球データ分析ツール「X-SCORE(エックススコア)」を通じて、プロ野球チームの強さに迫る野球分析コラム。
今回は、広島東洋カープ、日本のエース、前田健太(まえだけんた)。少年時代から忠岡ボーイズで西日本を制覇。世界大会出場。高校時代は強豪・PL学園のエースとして甲子園出場。同世代には田中将大(ニューヨーク・ヤンキース)、坂本勇人(読売ジャイアンツ)とゴールデンエイジの主役として日本プロ野球でも活躍。野球エリート街道をひた走る前田健太に死角はあるのか?また、更なる進化に向けた課題とは?

※2016年1月26日現在、前田健太投手(マエケン)のロサンゼルス・ドジャース入団決定!海の向こうでの活躍も今から楽しみです!

広島のみならず、日本プロ野球のエースともいえる前田健太。
マウンドに上がる前に、肩甲骨の動きを意識しながらの通称マエケン体操を真似したことがある球児も多いのではないだろうか。一部、肩こりやダイエットにも効果があるとも話題になったあの独特の動きは、前田健太自身の幼少時代、水泳の西日本大会優勝選手だったこともあり、この時培われた体や腕の使い方が、現在の「しなやかな腕の振り」を生み出している。
2010年から5年連続2ケタ勝利、防御率も2点台前半を記録するなど、数字の面でも圧倒的なものを残している。2015年もリーグ最多の15勝をあげ、防御率も2.09と文句ない成績だった。ギリギリでクライマックスシリーズを逃した2015年の広島カープにおいては孤軍奮闘、まさにエースの働きといって良いだろう。

そのエース前田健太を敢えて成績の面からより深く掘り下げて分析をしてみたい。 昨年2014年シーズンを振り返ると、11勝9敗と勝ち越しを2つしか作れなかった。エースとして物足りなさを感じるかもしれないが、1イニングあたりに許した走者の数を表すWHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)という指標では1.10。2013年から2年連続でリーグトップだ。では、勝ち越しを2つしか作れなかった理由は、どういったものだろうか。

月別の成績を見ると、8月に防御率を大きく落としている。ただ、被打率や与四球率に大きな変化があるわけではない。月別のストライク率を見ても、8月はほかの月と変わらない。 被本塁打が4本とほかの月より多かったことや、8月に登板した5試合中3試合で5失点以上喫するなど、大量失点の試合が多かったのが防御率を落とした理由だろう。
長いシーズン、どれほど優秀な投手でもエアポケットのように、突然崩れる時期がある。前田にとって2014年のエアポケットは8月だったということになるのではないか。

次に、カウントマップを見てみよう。
前述したように、1イニングあたりに許した走者の数は少ない前田健太だが、初球の被打率は.357と高い。1ストライク時も.459と被打率が高く、若いカウントでもピッチングに課題がある。追い込んだあとや、フルカウントでは被打率が大きく下がっているだけに、もう少し丁寧に入っていきたい。

前田健太の課題は初球だけではない。2014年は初回の失点(9失点)も、9イニングの中で3番目に多い。勝ち投手の権利を得られる5回の失点も多く、このあたりにも防御率のわりに勝ち星が伸びなかった要因がありそうだ。
また、得点圏に走者を置いたときの被打率もほかの場面と比べて高い。満塁時に被打率4割と高く、勝負どころで痛打を浴びることが多かった。
走者状況別でのストライク率は得点圏でも高く、制球に苦しんだわけではない。甘くなった球を打たれたと考えられるのではないだろうか。

WHIPなど、さすがエースと思わせる数字を残した一方、2014年の前田健太の成績からは「甘さ」も目立ったのは事実。2015年のシーズンを終え、将来のメジャー移籍も噂されているが、さらなる高みを目指すためには、より精密なピッチングが求められる。
日本のエース・前田健太の更なる進化を期待せずにはいられない。

(文・京都 純典)

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