X-SCORE'S EYE


第13回

広島東洋カープ 徹底解剖
(エルドレッド 打者篇)

本格的野球データ分析ツール「X-SCORE(エックススコア)」を通じて、プロ野球チームの強さに迫る野球分析コラム。
今回は、広島東洋カープの主砲で2014年の本塁打王・エルドレッド。
2015年のオフは、前田健太投手(マエケン)、メジャー挑戦が確定に、黒田博樹投手の現役続行を表明など投手陣は悲喜こもごものニュースが多いカープですが、打の軸として来季5シーズン目を迎えるカープファンの期待の高いエルドレッドの魅力に迫ってみよう。

黒田博樹が復帰し、前田健太も残留。(※2015年12月10日時点、マエケンはメジャー挑戦が確定!)今年こそはと、開幕前は優勝候補にあげられながら、一度も優勝争いに絡むこともなかった広島。
チーム打率はリーグ5位の.246。得点はリーグ3位の506得点、本塁打もリーグ3位の105本とリーグ平均より多かったが、打線全体の迫力に欠けた。チーム防御率はリーグ2位の2.92とよかっただけに、打線がもう少しよければ優勝争いに加わることができたはずだ。
打線の迫力が欠けた要因のひとつは、外国人選手の不振だ。
外国人選手の本塁打は、エルドレッド19本、グスマン3本、シアーホルツ10本、ロサリオ2本。4選手合わせて36本塁打。
14年シーズンは、エルドレッドだけで37本塁打を放ち、キラとロサリオを合わせた本塁打は62本。打線の中軸を担う外国人選手の本塁打が26本も減ったのは大きな誤算だったはずだ。

では、本塁打王にも輝いた2014年のエルドレッドは、どのような傾向があったのだろうか。X-SCOREで見てみよう。
まず、月別の打率推移のグラフを見ると、8月に大きく落ちているのがわかる。14試合に出場し57打数3安打、本塁打は0。打率は.053とまったくといっていいほど打てなかった。29三振と2打数に1回以上の割合で三振を喫するなど「大型扇風機」となってしまった。
三振が多くなれば、それだけ打率も下がるのは当然だが、エルドレッドが8月に打率を下げた理由はほかにもある。
打球比率推移を見ると8月はフライの割合が69%と大きく増えている。打率.296、4本塁打と調子を取り戻した9月も66%とフライの割合が高かったが、8月とのちがいは何だろうか。
9月はスタンドインするほどの打球は打てたが、8月はスタンドに届かない凡フライが増えてしまったことが要因だろう。
一般的に、長打が多い選手はフライの比率も高くなるが、エルドレッドはゴロの割合が高くても長打の数にさほど影響はない。ゴロの割合とフライの割合に変動があっても、4月までは8本、5月は9本、6月は8本、7月は8本と本塁打の数に大きな変化がないからだ。それが8月に限っては成績を大きく落としてしまった。夏場の疲れからか、バットに当たらず、当たっても凡フライ。疲れがとれた9月になって復調したといったところだろう。

次に打球方向を見てみよう。
一目でわかるように、エルドレッドは典型的なプルヒッター(引っ張り系)だ。安打の約半数がレフト方向で、凡打の2割がサードへの打球。ライト方向への安打は全体の7.4%しかなく、ライト方向への本塁打は37本中3本しかなかった。ライト方向への二塁打も3本と、エルドレッドは放った55本の長打のうち、ライト方向への長打は6本だけ。チームによっては、エルドレッドシフトを敷くところもあるぐらい傾向がはっきりしているバッターだ。

最後にカウントマップを見てみよう。
外国人打者への初球は要注意ともいわれるが、エルドレッドへの初球がボールになったのは44%と高い。相手バッテリーが警戒していたことがわかる。
ただ、初球のスイング率は39%と高くない。スイングしても18%は空振りと、初球の打率は.388と高かったが、確実性も高かったわけではない。
それよりも、ボール先行のカウントで打率.522、ファースト・ストライクで打率.455、15本塁打と高い数字を残している。
初球を警戒することはもちろんだが、ファースト・ストライクをどうやってとるかがエルドレッド攻略において重要となる。

(文・京都 純典)

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